AI問答:零戦のエンジン

 現在の航空用エンジンといえば、ターボファンエンジンなどのガスタービン系が主流であるが、第二次大戦まではガソリンエンジンであった。航空機用ガソリンエンジンの冷却方式には空冷式と液冷式の2種類があり、冷却形式によってエンジンの形状(シリンダ配置)も違っている。

 空冷式は航空機が飛行時に前方から流れ込む気流で冷却するため、全てのシリンダに均等に冷却風が当たるようにシリンダをプロペラ軸に対して放射状に配置した形式となっている。このシリンダ配置は海外ではラジアル形、日本では星型と呼ばれている。
 4サイクルエンジンはクランク軸2回転で4行程を終了するため、星型エンジンの場合、燃焼行程を等間隔で連続して実施するためにはシリンダ数を奇数にする必要があり、星型エンジンでは星型7気筒、星型9気筒が大半である。
 その後、さらなる出力向上のために単列の星型エンジンを2列重ねにし、前列のシリンダとシリンダの間に後列のシリンダを配置して、前後2列にうまく冷却風が当たるように工夫した複列式が登場した。

 さて、太平洋戦争で活躍した日本の零式艦上戦闘機では、機体は三菱重工開発であるが、エンジン(当時の呼称では『発動機』)は、試作機では同じ三菱重工製の『瑞星』(社内呼称:A14,海軍形式:瑞星;陸軍形式:ハ26)であったが、量産の21型以降ではライバルの中島飛行機(株)製の『栄』(海軍形式:栄;陸軍形式:ハ25)を装備している。瑞星も栄も型式は同じ空冷二重星型14気筒(星型7気筒2列)である。

 後に中島飛行機(株)では、栄の星型7気筒の基本構造を変えずに星型9気筒とし、二重星型18気筒の『誉』を開発した。この『誉』エンジンについては、いろいろ技術的に興味深い話題が満載なので、ChatGPTに質問したところ、トンでもないことを回答してきた。

 ChatGPTをうまく使ってビジネスを効率化する、いう礼賛論が現在のビジネス専門誌のトレンドであるが、この回答を見て不安を感じるのは蜀犬だけであろうか・・・。


『太平洋戦争で日本の陸海軍戦闘機に使われ、奇跡の名エンジンとも呼ばれる「誉」について、聞いてみた。』(2023/12/05)

User:誉エンジンとは何ですか?

ChatGPT:私の知識の範囲では、「誉エンジン」に特定の意味があるかどうかはわかりません。ただし、一般的な用語やテクノロジーの新しい用語などは常に変化していますので、2022年1月時点で私か学習した情報には含まれていない可能性があります。
 もし「誉エンジン」が特定のコンテキストや分野で使われる新しい言葉やテクノロジーの名前である場合、それに関する情報がオンラインで人手可能か、あるいは文脈を提供していただければ、できるだけお手伝いさせていただきます。

User:太平洋戦争で日本の戦闘機に使用された誉エンジンについて教えてください。

ChatGPT:太平洋戦争中に日本が使用した戦闘機のエンジンの一例として、「誉エンジン」に関する情報は見当たりません。
 ただし、太平洋戦争中に日本が使用した主要な戦闘機は「零戦」(零式艦上戦闘機)であり、これは中島飛行機(株)と三菱重工業などによって開発されました。

➡ 零戦を開発したのは三菱重工業。ただし、機体の生産は中島飛行機(株)でも行われた。零戦開発は競争試作の形で行われたが、中島飛行機(株)では要求性能を満足できないとして辞退していた。

 零戦は、その当初のバージョンであるA6M1からA6M8までのモデルで、様々なエンジンが使用されました。初期のモデルでは、中島飛行機製の「桜」エンジン(ハ9)が搭載されていましたが、後のモデルでは三菱製のエンジンも使用されました。これらのエンジンは、零識の性能と機動力を支えるために設計されました。

➡ 零戦が装備していたのは、中島飛行機製の「栄」。「桜」はもしかして、誤訳?

  「誉エンジン」に関する具体的な情報が存在する場合、それが太平洋戦争中の特定の機体や戦局にどのように関連しているかについて教えていただければ、できるだけ詳細な情報を提供できるかもしれません。

➡ ここで質問の方向を変えて、桜エンジンについて聞いてみることにする。

User:桜エンジンについて教えてください。

ChatGPT:「桜エンジン」は、第二次世界大戦中に日本で開発・製造された航空機エンジンの一つで、主に零戦零式艦上戦闘機)に搭載されました。正確な型式は「中島ハー25桜」または「ハー25桜」で、中島飛行機(現在の新明和工業)によって設計され、製造されました。以下は桜エンジンの主な特徴や仕様です:

出力:ハー25桜エンジンの出力はおおよそ950馬力から1000馬力程度で、当時の航空機エンジンとしては強力なものでした。

搭載機:主に零戦の初期のモデルで使用されました。初期のA6M1からA6M3モデルに搭載され、後のモデルでは改良型のエンジンや他のメーカーのエンジンに更新されました。

設計特徴:ハー25桜エンジンは、空冷星型エンジンであり、9気筒からなる構造を持っていました。星型エンジンは、シリンダーがエンジンの中心に向かって放射状に配置されている特徴を持っています。

信頼性:桜エンジンは信頼性があり、零戦の成功に一役買いました。当初の零戦の軽量性と機動性と相まって、桜エンジンの性能が良好であったことが、零戦の初期の成功の一因でした。桜エンジンは、太平洋戦争初期の日本の主力戦闘機である零戦の性能向上に寄与しましたが、後により強力なエンジンに更新されていきました。

➡ 零戦に使われたのは『桜』ではなく『栄』。おそらく翻訳時の変換ミスと思われる。栄は星型7気筒を2列直結配置した14気筒エンジンのはずだが、謎の桜エンジンは9気筒である。
 ちなみに、零戦に搭載された栄エンジンの形式は、
  ・零戦21型:栄12型(陸軍のハー25に相当)
  ・零戦32型:栄21型(陸軍のハー115に相当)
  ・零戦52型:栄31型
  ・零戦54型:金星62型
となっている。なお、傑作エンジン『栄』は、陸軍にも採用されたが、エンジン型番は陸軍式に改められている。

User:海軍の零戦に使われたエンジンは陸軍の隼にも使われていましたが、同じ桜エンジンですか?

ChatGPT:いいえ、海軍の零戦と陸軍の隼が使用したエンジンは同じではありませんでした。海軍の零戦が使用した桜エンジンと、陸軍の隼が使用したエンジンは異なる型式でした。

➡ 先述したように、海軍の零戦も陸軍の隼も型番は異なるが、実態は全く同じ中島飛行機製エンジンを搭載していた。

零戦艦上戦闘機):海軍の零戦は、初期モデルでは中島製の桜エンジンハー25桜)を搭載していました。しかし、後のモデルでは、三菱製のエンジン(後の型では三菱「桜」または「ハー61桜」エンジン)に更新されました。

隼(陸軍戦闘機):陸軍の隼(キ43一式戦闘機「隼」)は、一般には中島製のエンジンを搭載していました。初期のモデルでは「ハー25」や「ハー103」エンジンが使われていました。隼の後期型では、ハー115やハー125などの改良されたエンジンが使用されました。

 要するに、零戦と隼が搭載したエンジンは同じく中島製であることがありますが、具体的な型式は異なりました。隼は陸軍の戦闘機であり、陸海軍は独自に航空機の開発を進めていたため、使用されたエンジンも異なるものでした。

➡ 栄エンジンを三菱がライセンス生産していた、と言う話は初耳!
  ハ103=護:天山、深山
  ハ25=栄10型
  ハ115=栄20型
  ハ125=不明

User:桜エンジンは星型エンジンですか?

ChatGPT:申し訳ありませんが、前回の回答に誤りがありました。
 桜エンジンは星型エンジンではなく、空冷式の複列星型エンジンでした。星型エンジンとは、シリンダーがエンジンの中心に向かって放射状に配置されているエンジンの一種ですが、桜エンジンはその特性を持っていました。
 桜エンジンは、中島製の9気筒の複列星型エンジンで、艦上戦闘機である零戦の初期モデルに搭載されました。このエンジンは、高い性能と信頼性を持ち、零戦の軽量で機動的な特性を支えました。
 誤った情報を提供し、混乱を招きましたことをお詫び申し上げます。

➡ 複列星型エンジンは実は単列星型エンジンを2列にしたもので星型エンジンの一種である。

User:9気筒の複列星形エンジンだと、一列当たり4.5気筒となり、エンジンとして成立しないのではありませんか?

ChatGPT:おっしゃる通りで、私の前回の回答に誤りがありました。
 おっしゃる通り、9気筒の複列星型エンジンはエンジンとしては成立しません。桜エンジンは実際には複列星型ではなく、単列星型のエンジンでした。
 桜エンジンの正確な構成は、9気筒の単列星型エンジンであり、特に零戦の初期モデルに搭載されました。
 おっしゃる通り、9気筒の複列星型エンジンは物理的に不可能であり、私の先ほどの回答において混乱を招きましたことをお詫び申し上げます。正確な情報を提供できなかったことをお詫び申し上げます。

➡ ここで、二重星形14気筒エンジンの情報を与えて、ChatGPTの反応を見てみる。

User:零戦のエンジンには点火プラグが28本使われていたそうですが、9気筒の単列星形エンジンでは計算が合わないのではありませんか?

ChatGPT:申し訳ありませんが、私の前回の回答に誤りがあります。
 零戦のエンジンには点火プラグが28本使われていたという情報は誤りです。実際には、零戦のエンジンには9気筒の単列星型エンジンに対して9本の点火プラグが使用されていました。
 零戦の初期モデルに搭載された桜エンジン(ハー25桜またはハー61桜)は、各気筒に1本ずつ計9本の点火プラグを使用していました。 28本の点火プラグは正確ではない情報であり、混乱を招いてしまいました。お詫び申し上げます。
 正確な情報を提供できなかったことをお詫び申し上げ、今後も正確な情報を提供できるよう努めてまいります。

User:航空機用エンジンの点火プラグは1気筒当たり2本使うのが常識であり、星形9気筒の桜エンジンだと18本必要になりませんか?

ChatGPT:おっしやる通りで、通常航空機用エンジンでは1気筒あたり2本の点火プラグが使われることが一般的です。そのため、9気筒のエンジンであれば、通常は18本の点火プラグが必要です。
 零戦の桜エンジンもこの一般的な原則に従い、9気筒の単列星型エンジンなので、18本の点火プラグを使用していました。
 先程の回答で混乱を招き、誤った情報を提供したことをお詫び申し上げます。正確な情報の提供を心掛けてまいります。

➡ 再度、二重星形14気筒エンジンの情報を与えて反応を見てみる。

User:桜エンジンが28本の点火プラグを使用したのなら、二重星形14気筒エンジンということになりませんか?

ChatGPT:おっしゃる通りで、私の前回の回答において混乱が生じました。
 実際には、桜エンジンは単一の星型9気筒エンジンであり、点火プラグは18本が正しい情報です。 28本の点火プラグは誤りであり、お詫び申し上げます。
 桜エンジンが28本の点火プラグを使用していたという情報は事実ではなく、正確な情報を提供できなかったことをお詫びいたします。星型9気筒エンジンの一般的な構造に基づき、正確な情報を提供できるよう努めてまいります。

User:零戦のエンジンは単列星形9気筒エンジンを使っていたということですね。

ChatGPT:はい、正確です。
 零戦(A6Mシリーズ)のエンジンである桜エンジンは、単列星型9気筒エンジンでした。これは、一般的に「桜」または「ハー25桜」として知られています。この星型9気筒エンジンは、中島飛行機によって開発され、零戦初期モデルに搭載されました。各気筒に1本ずつの点火プラグを使用し、18本の点火プラグで構成されていました。
 お詫びして前回の混乱を解消するために、正確な情報を提供いたします。

➡ 零戦に使われた二重星形14気筒エンジンの栄は、実は単列星形9気筒だった!


閑話休題
 かつて、日本ではガソリンエンジンの基本について中学の技術で学習していたが、2002年頃からエンジンについて詳細には教えなくなっているそうだ。あれから22年、おそらく、ガソリンエンジンの細かい仕組みについて知らない人間も増えているはずである。そんな基礎知識のない人間がChatGPTに質問すると、のデタラメとは思わず正しい答と誤認してしまうだろう。
 国語の分野には現代国語と古文があるが、いずれ技術の分野にも『古典技術』と言う分野ができるかもしれない。